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凄い! 感心した! 回転はスムーズだし、トルク感も十分にある。とても1.5リッター3気筒のターボディーゼルとは信じられない。試乗受付に帰ってから「これ、116馬力のディーゼルですよねえ?」と確認したくらいだ。
昔からBMWエンジンは回転の滑らかさに定評があった。それがディーゼルになってここまで見事に踏襲されているとは、いやむしろそれ以上だとは! 驚きだった。ディーゼル特有の低速トルクが大きいこともあって加速も十分だ。最大トルクは270Nmもある。それを1750-2250回転の間で発生するのだから速いのは当然か。
08モード燃費も23.9㎞/ℓと、かなりイイ数値をたたきだす。ディーゼルというと燃費に触れられることが多いが、ここで問題なのはカタログ数値だけでなく実際のコスト。ガソリンと軽油の価格差を考えるとデータ値の差以上に出費の差は大きい。とくに輸入車の場合、ガソリンはレギュラーではなくプレミアムだから尚更だ。
ディーゼルで無視できないのがエンジン音。が、このディーゼル音は、外では多少聞こえるが、車内ならアイドリング時でもほとんど気にならない。走りだしてしまえば、ほとんどではなく、まったく気にならない。音のことなんか忘れる。これよりも静かなディーゼル車はマツダのCX-3くらいだが、このトルク感の前にはそれも色あせる。
MINIには4月19日にこのMINI クーパー D 5ドア(318万円)を含めディーゼル車6モデルが追加された。1.5リッター3気筒が2タイプ、2リッター4気筒が2タイプ(170ps)、それに、2リッター4気筒のクーパー・クラブマンが2モデル(150psと190ps)ある。このモデルに試乗してからほかのMINIディーゼルの乗ろうと思ったが、試乗車の関係でできなかった。残念。
もっとも、MINIディーゼルのベーシックモデルに最初から試乗しようと思っていたわけではない。本来試乗するつもりだったBMW 320dの前に乗ってみただけだ。思わぬ拾いものだった。
大進化! もはや欠点を探すのはむずかしい。
次に乗ったのがBMW 320d。5月19日(販売は5月28日から)に新しくなったばかりだ。空いていたのはそのM スポーツ(557万円)。エンジンは2リッター直4ターボディーゼル。最高出力は前モデル比6psアップの190ps、トルクは20Nmアップの400Nm。燃費も約1割向上して21.4km/ℓである。今回から安全な車線変更に貢献するレーン・チェンジ・ウォーニング機能がほとんどのモデル標準装備されるようになった。
BMWはわりと早くから大口径タイヤを装着してきたが、乗り心地のかたさはあまり感じさせなかった。この320d Mスポーツも同様で、タイヤは245/45R18とやや太めだが乗り心地自体は悪くない。操安性と乗り心地のバランスは素晴らしい。
前述のようにパワー&トルクも小幅ながらアップしているから、Mスポーツの足にも十分応えるパフォーマンスだ。ただ、衝撃度という点では116psには負ける。ほぼ想像どおりだから。
次に乗ったのがBMW 118d スポーツ(5月21日販売 365万円)。エンジンは320dと同じ2リッター直4ターボディーゼルだが、パワー&トルクは150ps&320Nmと少し大人しい。その分、燃費(22.2㎞/ℓ)はガソリン車の118iに比べると約2割向上している。
一昔前と異なりディーゼルは今やあって当たり前。ただ、現状を見る限り欧州メーカーの方が積極的だ。ドイツなどと違い、日本ではガソリンと軽油の価格差が大きい。性能的にはガソリンに比べて遜色はない。低速トルクの太さはとくに街中では大きな武器になる。音もまずまずだ。となれば、ディーゼルを選ばない理由を探す方がむずかしい。敢えて挙げれば車両価格だろうか。
撮影:佐久間健