ボルボXC T8 ツインエンジン AWD PHEV

人中心のモノづくり。超1000万円カーでも“らしさ”忘れず。

エアサス仕様は車高を変えられる。モーター走行優先のピュアモードでは10㎜、燃費優先のハイブリッドモードなどでは20㎜下げ、反対にオフロードモードでは40㎜上がる。乗り心地はいい。

数値から判断するとかなり速そうだが、実際の加速は予想よりはマイルド。ドライバーに不要な緊張を強いることはない。ただ、回生ブレーキの影響か、ブレーキングにはやや違和感があった。

フロントの2ℓ 4気筒エンジン(ターボ&スーパーチャージャー)は320ps、リアのモーターは87ps。燃費は15.3㎞/ℓ。もちろん4輪駆動だ。変速機は8速AT。モーターで35.4km走れる。


インテリアは最上級モデルらしく高級感にあふれる。しかもメルセデスやBMWのSUVとは一線を画したボルボらしさを大切にしている。基本的ンには先に発売されたXC90と変わらない。

リチウムイオンバッテリーをセンターに配したのが大きな特徴。このおかげで優れた前後重量バランスと室内の余裕を手に入れることができた。約5000台のXC90の13%をT8が占める。

フロントにエンジンを配するのはこの3車共通だが、モーターはアウトランダーが前後に、T8はリアにのみ装備する。ソフト面の完成度ではアウトランダーやや有利か。7人乗りはT8だけ。


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 新世代ボルボの第一弾モデルとしてデビューを果たしたXC90は、7人乗りのフラッグシップSUVというコンセプトはそのままに、ボルボ流の快適性、安心感を大きく引き上げたモデルだ。そのXC90に、トップグレードとなるプラグインハイブリッドモデルT8(正式には最高級グレード名=インスクリプションがつく)が、ガソリンモデルのT5、T6に遅れてようやく日本上陸を果たした。
 パワーユニットは、T6と同じ2.0ℓガソリンツインチャージャーエンジンに加えて、リアに65kWを発生するモーターを組み合わせたもので、フロント(ガソリンエンジン)、リア(モーター)を独立して駆動するAWDシステムを採用する。トータルで407ps&640Nm(欧州参考値)と高出力を誇るが、同時にJC08モード燃費を15.3km/ℓとし、また、バッテリーのみで35.4kmを走ることができるなど、パワーと環境・燃費性能をバランスしていることもトピックとする。
 その走りは、XC90が手に入れたボルボ史上最高の快適性に、さらなるゆとりという安心感を加えたもので、それはたんにラグジュアリーというよりは、フラッグシップたる雰囲気にあふれている。アクセルペダルを踏み込んでもその加速感は過激というよりは、力強さをベースにしながらスムーズさを感じさせるジェントルなもの。407ps&640Nmというパワースペックから期待されるような豪快さとは異なるかもしれないが、ドライバーを含めた乗員に快適と安心を提供するというボルボらしい仕立て方となっている。もちろん、モーターがもたらすレスポンスをトピックとしていることはいうまでもない。ただ、その俊敏さにも唐突感はないし、リア駆動に用いていることもあって、安定性がもたらす安心感を上手く引き出しているといった印象がある。
 このXC90 T8に乗って強く印象に残ったのは、ラグジュアリーであることよりも、1000万円オーバーとなる価格のモデルであっても、走りはもちろん、安全性からデザインに至るまで、人を中心としたクルマ作りにこだわるボルボらしさだった。そう、今も昔もボルボらしさは変わっていない。

写真:佐久間健 イラスト:ボルボ・カー・ジャパン

<吉田 直志> 最終更新:2016/07/19