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多様性の意味を持つ「Versatility」のイニシャルを持つV40がデビューしたのは1995(平成7)年のことで、ボルボ屈指の成功作といわれる850がV70に名称変更される1年前のことになる。当時のボルボはステーションワゴンが人気を集めていたから、Vシリーズは北欧自動車メーカーのメインストリームといえる存在だった。
2004(平成16)年にV40はフォード・フォーカス、マツダ・アクセラとプラットフォームを共用するV50へモデルチェンジされた。ステーションワゴン然としたスタイリングはこのモデルが最後で、2012年に登場した現行モデルは従来のC30クーペ、C40セダン、V50ワゴンを統合した5ドアハッチバックとして再スタートを切ることになった。世の趨勢をくみ取り、ボルボはボリュームゾーンの40シリーズをステーションワゴンから小型SUVへと衣替えした。なにしろ、V40は2013年の発売以来、国内で2.7万台を販売している重点モデルなのである。
現行V40最後のフェイスリフトは2018年にも予定される次期モデルへの橋渡しを予感させる。それはさまざまな面でXC90を連想させる変化に置いて顕著だ。V40のグレード名はT3とD4がXC90に倣いキネティック/モメンタム/インスクリプション、T5がRデザインに変更されている。さらに快適性の向上。当初のハードなダイナミックシャシーはやや穏やかなツーリングシャシーに切り替わり、リアダンパーのツインチューブ化もあって乗り心地は目に見えて向上している。それに加えて温かみを感じさせるファブリックシートを採用し、新世代ボルボのインテリアコンセプトを色濃く感じさせる。また、今回は歩行者エアバッグを全車標準装備とするなど、ボルボ自慢の安全性もアップデートしている。
エンジンも一新され、T5の2L直列5気筒は「Drive-E」直列4気筒にスイッチされ、ベースエンジンとしてガソリン1.5L4気筒ターボのT3が加わった。ギアトロニック6速オートマチックトランスミッションはツインクラッチのアドバンテージを生かし、トルクバンドの狭い小排気量ターボエンジンを生き生きと走らせることに成功している。
報告:椎橋俊之
写真:佐久間健 ボルボ