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ダイハツのコンベンショナルな軽2ボックスセダン、ミラ イースが6年振りにフルチェンジされた。“e : S”のサブネームが付くようになって2代目の今回はその名のとおりEco(エコロジー/エコノミー) & Smart(賢い選択)の基本路線を踏襲しつつ、より一層後者に重点が置かれた。
JC08モード35.2km/ℓのシリーズ最良燃費は車両全体で約80kgにも及ぶ軽量化とリニアな加速感を獲得すべくCVTのセッティングを変更したこととが相殺され、結果的に先代と同値だが、時代に即応して格段の安全デバイス拡充を図るなど単なる下駄グルマからの脱皮を目的としている。
その端的な例がスタイリングと言えよう。サラリといかにも素の魅力に富んでいた初代のそれやチープシックなフランス味が一部ファンにウケていたかつてのミラ エッセなど、これまでダイハツにはほどよくトボケた独自のセンスが認められたが、新型はそんな、必ずしも当てにならない個性より商品としての錬成を求めてよりエッジーな、ブーンなどにも通じる同社の最新トレンドに統一された。
軽量化の功罪両面。安全デバイスは大幅に進化。
ステアリングを握って走り始めると確かに従来より随分と大人びて感じられる。試乗車は上から2番目の2WD X“SA III”グレード(108万円)だったが、ファブリック地のシートはクッションが意外な厚みを有しており、長めのホイールベース(2455mm)と相俟って軽とは思えないフラットでハーシュネスの少ない乗り心地を提供する。室内はスペース効率が高く、リアシートのレッグルームは充分だ。立体的な造形が特徴のダッシュボードはシボの付け方も巧妙で、この点に関してはいささか平板にすぎるライバルのアルトを確実に凌いでいる。数字では驚きの軽量化だが、その影響は正直言って功罪両面あるようだ。なるほど信号待ちからの発進や中低速域での追い越しがさしたる不満ないまでに改善されたのは初期の狙いどおりであり、歓迎されるが、それでもなお80km/h以上の速度域では依然ややエンジン回転数の頭打ち感が免れず、同時にフロアやスカットルからと思しきロードノイズの侵入が過大なのが惜しいところ。このあたりは適宜遮音材の追加等で生産過程での対処・熟成が比較的容易なはずだ。
車重減に応じてEPSユニットそのものも小型化されたステアリングはセンターがやや出辛いキライはあるものの、かといって不正確だったりスタビリティに問題があるわけではなく、軽い操舵力ともどもクルマの性格に合っている。
“SA III”はスマートアシストver.3の意。世界最小サイズとされるステレオカメラを搭載し、従来型に比べて衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能が対クルマだけでなく対歩行者にも有効となったことをはじめとして被害軽減ブレーキアシストや後方誤発進抑制制御機能、オートハイビームの追加、各作動車速域の拡大など全体に格段の進歩を遂げたが、なかでも車線逸脱警報機能は実際に使ってみてその作動が適切かつ確実であり、恩恵を如実に感じさせる出来だった。
Hopefully ease it a step forward !
報告:道田宣和
写真:佐久間健
最終更新:2017/06/04