【新車&NEWS】フィット
スペックより心地よさを選ぶ

 本当は昨年の東京モーターショー前後に正式に発表されるはずだった。ところが思いがけないブレーキの問題が発生してデビューが遅れた。そういった意味では“やっと”である。何と言ってもコンパクトカークラスでは最も売れているモデルのひとつ。その内容は気になる。

視界、座り心地、乗り心地、使い勝手を最優先

 エクステリア全体の印象はキープコンセプトと言えなくもない。しかし細部を見ればもちろん大きく異なっている。まず顔からグリルが消えた。冷却の問題がないならグリルは必ずしも必需品じゃない。グリルが消えてどう印象が変わったか。優しくなった。これにはヘッドライトのデザイン変更も関係している。ファミリーカーはこのくらいが丁度いい。
 ファミリーカーと書いたが、ホンダはこの4代目に必ずしもそういう位置付けをしてはいない。数値では表せない4つの「快適さ=心地よさ」を目指したというのだ。すなわち、快適な視界、快適な座り心地、快適な乗り心地、快適な使い心地だ。
 快適な視界は、従来の半分以下の厚さに抑えたフロントピラー、水平&直線基調を徹底したインパネなどによって具現化した。そのためにステアリングホイールのスポークも水平な2本タイプを選んだ。インパネの上部がフラットなのもこういうデザインと質感で処理すれば抵抗はない。使い勝手もいい。
 座り心地を担保するのは、長距離ドライブでも疲れないように面支持タイプに変更されたシートと、フリクションを大幅に減らしたペンションだ。快適な乗り心地は、静かでストレスのない走り、止まっても動き出さないオートブレーキなどが支える。
 使い勝手の良さでは、IPU(インテリジェント・パワー・ユニット)を小型化することによって生まれた広いラゲッジスペース(開口部も広がった)、フロントシート間にカバンなどを置けるテーブルコンソールなどの大技・小技。この辺りの改良は軽自動車も含めてニッポンのメーカーは抜かりない。

1から2へ。大幅に進化したハイブリッド

 最近の傾向に則ってライフスタイル別に5つバリエーションを提案する。親しみのあるシンプルなデザインのBASIC、シンプルさの中に上質感をプラスしたHOME、アクティブ派向きのNESS、街にもアウトドアにも合う専用エクステリアのクロスター、洗練&上質でスタイリッシュなLUXE(リュクス)だ。このあたりはほぼメーカーの広報資料のままに記した。
 パワートレーンは1.3リッターガソリン(98ps)と1.5リッター(98ps)+2モーター(109ps)のハイブリッド。ハイブリッドは従来の1モーターから2モーターに変わった。静粛性の面でも走りの面でも燃費の面でも卓越したパフォーマンスを発揮しそうだ。
 このハイブリッドはモーター走行を中心としている。ただし、ドライブモードは守備範囲の広いEVのほかに、加速を必要とするときにはハイブリッド、高速クルーズにはガソリンと、状況に応じてモードを使い分ける。なかなか賢い。
 「e:HEV」と呼ばれるハイブリッドも1.3リッターのガソリンも、すべてのグレードで選べるし、駆動方式もFFと4WDが全グレードに用意されている。消費税込み価格は199万7600円(BASIC FF)から253万6600円(e:HEV LUXE 4WD)。
 現時点でもっとも注文が多いのはそこそこ装備のHOME(4割)、次がSUV風のクロスター(3割)だとか。ボディカラーは2トーン仕様(かっこいい)もあるが、こちらのオーダーはどうも控えめらしい。ガソリンとハイブリッドの注文比率はほぼ5分5分だという。数値では表せない心地よさというのはある意味で脱スペックということだ。一部のモデルを除いて今後もこの傾向は続くだろう。

報告:神谷 龍彦
撮影:佐久間 健 ホンダ技研

グリルが消えた、目つきが優しくなった。穏やかな顔。グリルにもスペックにも捕らわれない?

最も低価格なBASIC。全長3995×全幅1695弌助手席が回転する福祉車両も用意されている。

パワー・ユニットの小型化でスペースが増え間口も大きくなった。床下には荷物ボックスが。

徹底して水平デザインにこだわった。そのためにステアリングも2本スポークを選択した。

シフトレバーの手前にこんなスペースがある。ちょっとカバンなど置くときなどに便利だ。

ハイブリッドのシステム図。パワー・ユニットの小型化などでスペースを稼ぎ出している。


最終更新日:2020/02/18