メルセデス・ベンツ、オープンモデル3種発表!


 あれは4月27日のことだった。メルセデス・ベンツは3車種のSUVをまとめて発表した。これまでのGLに代わるGLS(ディーゼル 1070〜1900万円)、EクラスクーペのSUVモデルとなるGLEクーペ(ディーゼル/ガソリン 890〜1780万円)、そして同じくEクラスのSUVであるAMG GLE43(1150万円)だ。同時に今年の第一四半期の販売台数は約18000台で輸入車ナンバーワンであることも発表された。
 このSUV発表のわずか1カ月あまりの6月2日、販売の好調さを象徴するかのように、今度は3種類のオープンカーをまとめてデビューさせた。
 まずSLC。これは、1996年にデビューしたSLKの後継モデルだ。電動開閉ハードトップ(バリオルーフ)をもつコンパクトなロードスターである。フィレンツェで行われた初代SLKの試乗会では"K"はドイツ語のKurz(短い)であると説明された。しかし、昨年からメルセデスのネーミング新文法にのっとりSLCと改名された。
 日本に導入されるのは、180(1.6ℓ直4ターボ=156ps 530万円)、同スポーツ(590万円)、200スポーツ(2ℓ直4ターボ=184ps 685万円)、AMG SLC43(3ℓ・V6ツインターボ=367ps 970万円)だ。トランスミッションはすべて9速ATで、本国にある6速MTは輸入されない。また、AMGの納車だけは6月中旬と少し遅れる。
 もっともこのチェンジはビッグマイナーであり、前後バンパーのデザインや機能性の向上を除けばこれまでのモデルとあまり大きな変化はない。それを他のオープンモデルとまとめて発表するところがメルセデス・ベンツの巧妙さだろう。
 SLCの兄貴分がSLだ。これも言ってみればビッグマイナー。細かいところを除いてエクステリアに大きな変更はない。しかし、エンジンバリエーションは変わった。これまであったSL350に代わって367psのSL400が日本でのベースになった。SL550のエンジン(455ps)は同じだが、トランスミッションが従来の7速ATから最新の9速ATに変わった。V8のAMGの63とV12の65(注文生産)は変更なし。
今回新しく採用された技術としてはダイナミックカーブ機能がある。これは、マルチパーパス・カメラでコーナーを検知し、自動的に内側の車高を下げ、外側は逆に持ち上げるサスペンション・システム。より安定した爽快なコーナリングを楽しめる、というのがメルセデスの説明だ。価格はSL400が1265万円。AMG SL65に至っては3383万円もする。
 さて、完全にニューモデルと言えるのが44年ぶりに復活した4シーターのSクラスカブリオレだ。S550カブリオレ(V8=455ps)でも2145万円もする。このほかにはAMG S63(V8=585ps)とAMG S65(V12=630ps)があり、価格はそれぞれ2750万円と3417万円である。ちなみにエンジンはすべてツインターボだ。ただ、納車は10月中旬以降になるらしい。
 このモデルを見て感心させられたのはインテリア。個人的には、ブルーとホワイトのボディカラーのモデルで選べるホワイトレザーとウッドの内装がいい。ちょっとクルマとは思えないほどの上質感がある。こうなるとメルセデスの言うようにまさに"ドリーム・カー"だ。

 

SLK改めSLCに。SLはロードスター、Cはクラスを表す。530万円の180が最廉価版。今回発表されたオープンカーの中では唯一1000万円以下に収まるシリーズである。

1952年にレーシングカーとしてデビュー。市販車の登場は1954年。以来歴史を重ねて最新モデルは7代目。新技術はコーナー姿勢を安定させるダイナミックカーブ機能。

最高級のラグジュアリー・オープン4シーターのひとつ、Sクラス カブリオレ。クーペを踏襲したボディスタイルと静粛性の高いソフトトップ。剛性もクーペ並だという。

インテリアはヨットをイメージしたオープントップラウンジ風。素材、デザインともにとても高級感がある。ルーフの開閉を感知してエアコンの温度や湿度を自動調整する。

1カ月ほど前に発表された最新メルセデスSUVの3モデルのうちでもっとも個性的なのがこのGLEクーペ。BMWで言うとX6にあたるモデル。SUVは販売の約25%。

報告 神谷龍彦
撮影 佐久間 健


最終更新日:2016/06/06