本田技研工業 フリード&フリード+
ユーティリティ大幅向上。2代目はもちろん本気です。

 「4WDもあります、ハイブリッドもあります、車内空間も大幅に広げました」──9月16日に東京・青山のホンダ本社で行われたフリードの発表会で担当者は誇らしげに言った。その後、特設ステージではファッションモデルの蛯原友里とお笑い芸人の徳井義実が女性司会者を交えてフリードのアピールトークを続けた。ありがちなシチュエーションだけど、ヤラセらしい“やらせ”にむしろ好感が持てた。
 フリードはこれまでどおりフリードだが、スパイクはフリード+(プラス)という呼称に変わった。ターゲットは子育て層が中心。このあたりは先代フリードと共通で、8月から始まった先行受注でも7割以上がフリード・シリーズからの乗り換えだという。前述のゲストのステージもこうした顧客層に的を絞ったもの。で、フリードは3列シート(6人、7人乗り)、フリード+は2列シート(5人乗り)である。
 ホンダはコンパクトミニバンを以下のように定義付ける。「排気量は1.5リッターまで、5ナンバーサイズ、主要グレードの値段が150〜250万円、このあたりが先代のキャッチコピー「ちょうどいい」の言いたいところだ。うん、確かにちょうどいい。
 エンジンは、1.5リッターガソリン(131馬力)と、ハイブリッド(110馬力の1.5リッターエンジンと29.5馬力のモーター)。JC08モード燃費は、ハイブリッド車FFのベストがシエンタと同じ27.2㎞/ℓ、ガソリン車は16.4〜19.0㎞/ℓ。トランスミッションはガソリン車がCVT、ハイブリッド車が7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)だ。フリード、フリード+ともにFFと4WDを用意する。
 価格はフリードの最廉価モデルのB(ガソリン、FF)が188万円、最高価モデルのハブリッド G Honda SENSING(4WD)が278万8200円。フリード+のモデル展開はフリードとほぼ同じで、価格は約2万円高である。ちなみにHonda SENSINGというのは、歩行者事故低減ステアリングなどの総合安全運転システム。これ自体の価格は12万円で、約1万3000人の事前予約者のうち7から8割のユーザーがこれを選んでいるという。ついでに言うと、約6割の人がハイブリッドだ。
 6人乗りのフリードの2列目はキャプテンシート。しかもスライド量は120mm長くなっており、エラソーに足も組める。ウオークスルー用のシート間距離も広くなった。シートアレンジは、1列目&2列目、2列目&3列目のフラット化を含めてとても多彩だ。
 フリード+のウリは超低床と、最後尾と2列目が完全に平らになり、セミダブルベット並のフラットスペースが得られること。ディーラーオプションのラゲッジクッションマット(2万1600円)を買えばさらに快適に過ごせる。しかも、このフラットな床の下にはラゲッジスペースがある。実はこういう気配りがユーティリティの面では重要だ。
 もうひとつ褒めておきたいのは、先代では3列目シートの下にあったIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)をコンパクトにして1列目シートの下に移したことだ。重量パーツが後輪付近にあるのと前後駆動軸の間にあるのとでは走行安定性が大きく変わる。
 「シエンタとの差別化は?」という会場からの質問に「運転のしやすさと、元気のいい走り、それと内装の質感です」と答えたのは本音だと思う。内装の質感も増したが、その裏には最近の軽自動車には負けられない!という思いがありそうだ。ちょうどいいというキャッチフレーズ、2代目にこそ似つかわしい。

報告:神谷龍彦
写真:本田技研工業 神谷龍彦

手前がフリード、後方がフリード+。エクステリアに差はない。最小回転半径は先代と同じ5.2m。小回り性も大切な要素だ。

フリード6人乗り。1〜3列目シート間の前後距離を90mm拡大した。FFモデルの2列目は前後に360mmもスライドする。

モデルの蛯原友里とお笑い芸人の徳井義実。ラゲッジボード下の空間は魅力。もう少し広ければもっといい。(フリード+)

2列のシートをアレンジすればこうしたセミダブルのおやすみスペースが生まれる。二人旅行には便利な仕掛け。(フリード+)

三角窓を持ったフロント視界はクリア。インパネの質感も大幅にアップした。進境著しい軽自動車には負けられない!

ハイブリッド・エンジン。モーターに世界初のネオジム磁石採用。小型化によって1列目シート下に配して走行安定を確保。


最終更新日:2016/09/19