BMW2シリーズ アクティブ ツアラー

 

立体駐車場OKのプレミアム・コンパクト

 

 BMWブランドとしては初めてのFWD(前輪駆動)モデルが、10月1日に誕生した。ただし、納車は12月になるという。長くFRにこだわってきたBMWとしては珍しい選択だが(ショーデビューは今年のジュネーブ、本国での発売は9月)、室内の広さと機能性を考えるとやはりFWDは見逃せない選択肢になるらしい。FWDならMINIがあるじゃないかという声も聞こえてきそうだが、「あれは別モデルだ」とBMWは主張してきた。そもそもミニは買収されたメーカーだから、それも故なきことではない。

 

 BMWはこの2シリーズのスタイリングを強くアピールする。それもさることながら、個人的にはエンジンが気になる。排気量は1.5リッターと2リッタ―があり、それぞれ218i、225iと呼ばれる。ともにツインターボ・エンジンで最高出力は218iが136PS、225iが231PSである。駆動方式は218iが前述のようにFWD、225iは4WD(xDrive)。ここでBMWはエンジンにモデュラ―・システムも採用する。つまり、500ccを1単位として排気量を増やしていこうというわけだ。だから、必然的に1.5リッターは3気筒、2リッターは4気筒になる。

 

 ところで、1.5リッター3気筒ターボというと何か連想しないだろうか? そう、あのスーパー・ハイブリッド・スポーツカー"i8"だ。あちらの3気筒エンジンは、リアに積まれ231PSを発生する。フロントには131PSのモーターが搭載されるから、合計で362PSになる。その分、お値段も立派で1917万円。2シリーズ・アクティブ・ツアラーの方はプレミアムコンパクトといっても、i8に比べれば可愛いもので218iが320万円から381万円、225i・xDrive(Mスポーツ)は494万円。トランスミッションは218iが6速AT、225iが8速スポーツATだ。

 

 最近はコンパクトをうたいながら、日本的基準から見るとそうとも言えないモデルが少なくない。その点、この2シリーズはいいトコを突いている。全長×全幅×全高=4350×1800×1550mm。全長も抑えられているが、特に重要なのは全高。これなら立体駐車場にも入る。多目的乗用車としては異例ともいえる低さだ。全幅の1800mmはいまやことさら大きいとは言えないが、もう少し抑えられれば日本では良かったかもしれない。

 室内はまさにBMWだ。水平気其調(基調)で分かりやすい。ダッシュボード・センターの大型ディスプレイ(8.8インチ)が目立つ。比較的小振りなサイズであるにもかかわらず、スライド量130mmのおかげでリアシートの余裕はかなり高い。ラゲッジ収容量は、40:20:40分割可倒式のシートアレンジによって468リッターから1510リッターに変わる。最近あまり聞かれなくなったCd値は0.26と非常にいい。

 

 装備も充実している。走行中にアクセルから足を離してブレーキを踏まないとアイドリング状態で惰性走行して燃費を向上させるコースティング機能など、省エネ対策にもぬかりはない(1.5リッターの燃費は16・.8Km/L(16.8km/L))。安全対策もほぼ最先端レベル。好調を続けるBMW。昨年のデータでは購入者の70%が国産車からの乗り換えだという。このモデルの登場でその数値がまた伸びるかもしれない。

 

このところ腎臓肥大気味だったグリルを少し控え目にして幅広感を強調。ヘッドランプはすべてLEDを標準装備。

 

ホイールベースは2670mm。ボディサイズを考えれば長い。前後は目いっぱい詰めた。サイドのデザインラインが印象的。

 

やや高めの全高にハッチバックボディ。3分割式のリアシートによって、ファミリーユース用ラゲッジスペースも確保。

 

BMWとしては初のFWD。1気筒500ccのモジュラーエンジン。1.5リッターは3気筒に、2リッターは4気筒になる。

 

インパネは直線基調で違和感なし。8.8インチディスプレイは大迫力。やや高めの着座位置が広い視界をもたらす。

 

後席のニールームは予想以上に確保されていた。130mmスライドする後席のアレンジは自在。ちょっと楽しい。

 

(REPORT/神谷 龍彦)

 


最終更新日:2015/02/09