ゼネラルモーターズ・ジャパン(GM ジャパン)は、キャデラックXT5 クロスオーバー(以下、XT5)を発表した。発売は本年の10月28日となる。GMによると同車は「ミドルサイズラグジュアリーSUV」という位置づけでキャデラックエスカレードの下のクラスとなる。ミドルクラスのSUVというと、国産車、欧州車を問わず激戦区。そこに乗り込もうというのだから、かなり力を入れたクルマとなっていると想像できる。
XT5のポイントのひとつは軽量化にこだわったところ。GMでも「ひと回り小さいクラスと同重量で、クラスでは最軽量」と言っている。軽量化の手法としては、部分の強度分析を徹底的に行い、高張力鋼板の最適使用や、溶接の部分でレーザー溶接からスポット溶接まで最適な技術を使っているというものなので、この辺は地道な積み重ねという感じだ。
ただ、GMは軽量構造用接着技術では特許を持っており、構造用接着剤を多用したことで、軽量化に加え剛性も上げたという。これによって、先代モデルとなるSRXクロスオーバーに比べて、90kgのウェイトダウンで車両重量は1990kgと2tを切り、10%の燃費向上を果たした。
エクステリアに関しては、現代のキャデラックのイメージを引き継ぐもので、SRXクロスオーバーからも大きく変化してはいない。ただ、全体的にシャープさを増し、引き締まった感は増したように感じた。インテリアもラグジュアリーSUVを謳っていることもあり、独自のカット&ソー製法で仕立ててあるという。素材としては、レザー、ウッド、カーボン、スウェード、アルミニウムなどを組み合わせ、贅沢さや温かみを感じられるものだ。スペース的にはリヤシートを含め、かなりのゆったり感がある。
パワートレインは3.6リッターV6DOHC VVTエンジンで、最高出力231kW(314PS)、最大トルク368Nmを発生。燃費向上のために、状況に応じて6気筒から4気筒に切り替えるアクティブフューエルマネージメント(気筒休止)を搭載する現代的なものだ。アイドリングストップシステムを備えているということで、かつての「大食いのアメ車」とはだいぶ趣が異なっていると言えるだろう。
SUVとしては譲れない? 駆動系は4WD(AWD)となっているが、エンジントルクの最大100%をフロントタイヤ、もしくはリヤタイヤに伝達できるなど、凝ったシステムを使っているようだ。
同車は、米国道路安全保険協会(IIHS)の耐衝撃性試験、前方衝突回避機能で最高安全評価「2016トップセーフティ・ピック+(TSP+)」を獲得するなど、安全性にもかなり自信を持っての日本投入となる。価格は668万5200円〜754万9200円、日本導入特別モデルは783万円。ただ、設定が左ハンドルのみというのは、ライバル車との勝負ではウイークポイントとなる可能性が高いだろう。
報告&写真:飯嶋洋治
ミドルサイズ”ラグジュアリー”SUVを謳うXT5クロスオーバー。都会的な4WDとなっている。
エンジンは3.6L V6DOHC VVT。気筒休止装置(アクティブフューエルマネージメント)付きだ。
室内もラグジュアリー。インテリアは3種類のカラーを選択できる。ステアリングは本革巻き。
リヤシートは40:20:40の分割可倒式となる。カーゴスペースは最大で1.784Lのスペース。
ホイールはPlatinumが20インチ(写真)、Luxuryが18インチとなる。基本は街中使用だ。
GMジャパン代表の若松格氏とグローバルキャデラックCEO ウヴァ エリングハウス氏が登場。