ルノー・カジャー
RENAULT KADJAR
ヴァカンスの本場のSUV。気にならない方がおかしい

──このモデル、一番の特徴はなんですか?
 「シルエットでしょうね」
──シルエット?
 「そうです。SUVはたいてい直線的なラインになります。でも見てください。カジャーは、キャプチャーのダイナミックさとルーテシアの魅惑的なラインを取り入れています」
──ほかには?
 「このシルエットはマッスルなフェンダーでさらに強調されます。同時にフェンダーから続くドアの彫刻的な抑揚とモールのアクセントによって緊張感のあるシルエットをつくっています。19インチタイヤを収めるホイールアーチやボディ下部全体をカバーするアラウンドボディプロテクターもその役割を果たしています」
 サイズは全長4455㎜、全幅1835㎜、全高1610㎜、最低地上高は200㎜。アプローチアングルは18°、ディパーチャーアングルは28°。頼りになりそうだ。
 ルノーが言うようにここまで曲線をもつSUVは少ない。が、どっこい、日本にはトヨタのC-HRってのがある。曲線的と言い切るのは多少躊躇するけど、デザインは間違いなくユニークだ。サイズはひと回り小さいがC-HR、個性的という点では負けない。ただ、最近のトヨタのデザインは少々やりすぎという気がしないでもない。
 ちょっと話は飛ぶけれど、車名のカジャー。アルファベットではKADJARとつづる。フランス語ではカジャール(“ル”はほとんど聞こえない)、英語ではカジャーと発音する。でも、意味は何かと辞書で調べてもそれはムダってもの。「4」を意味するKADと「機敏な」のagileと「噴出する」という意味のJARを組み合わせた造語だから。

地味だけど質感の高いインテリア。ユーティリティも上々。
 エンジンは1.2ℓ直4ターボで最高出力は96kW(131ps)、最大トルクは205Nm。スムーズでトルクも十分なパワートレーンだ。組み合わされるトランスミッションは電子制御7速AT(7EDC)。こちらも定評のあるギアだ。駆動方式は現時点ではFF。
 外観に比べるとインパネデザインはさほど個性的ではない。個性的ではないが質感は高い。パネル表面には原則としてパッドが入る。メーターパネルはカラーや表示を自在に設定できる。表示できるのは速度、エンジン回転、オーディオ、運転支援システム(ADAS)。
 ADASは30km/hから140km/hで走行中に前方の走行車両に反応して自動ブレーキをかける。ただし、前車が30km/h未満だと作動しない。また歩行者や小さい障害物には無反応だという。イージーパーキングアシストは縦列、車庫入れとも可能。ドライバーはクルマの命ずるままにアクセルとブレーキ、そしてギアを操作すればいい。ステアリング操作はクルマが自動的にやってくれる。まあ、とくに珍しくはないけどね。
 SUVにはユーティリティの高さは欠かせない。フランスはヴァカンスの国、この辺りは得意技だろう。その代表例のひとつがラゲッジルームだ。リアシートの6:4分割やフルフラット化は当然として、2枚のボードで縦に3分割できるのは場合によっては便利そうだ。また、使わないトノカバーをきっちり収められるのもいい。
 ところで、このモデル、正式名は「カジャー Bose」と言う。よってスピーカーはBose。ボディカラーはメタリックホワイトのみ。しかも100台の限定販売だ。現地では大好評のモデルらしく、日本用の台数確保が大変だとか。で、まずは限定車で様子を見てということだろう。でも、1月〜8月までの日本での販売台数ではPSAを抜いているのにこの対応はちょっと地味すぎないだろうか。この国でも本格的なSUVブームが来ているのに惜しい。時は金なり。で、プライス。税込み価格は344万円なり。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

筋肉モリモリの印象。だけどまとまっている。SUVとしてのパフォーマンスも高そうだ。

フロントビューも個性的。左右のヘッドライトをつなぐクロームラインがワイド感を増す。

とってもオーソドックスなデザイン。7インチのマルチファンクション・タッチスクリーンの使い勝手もよさそうだ。ステアリングホイールにはメーター表示などの各種操作スイッチが集中している。

ラゲッジボードは2枚用意されている。奥を上下二段にもできるし、1枚を使って縦に二つのスペースに分割することも可能だ。トノカバーの収納スペースが用意されているのも便利。

おなじみの1.2ℓ4気筒ターボ。ギアはこれもおなじみの7速AT。信頼性はともに高い。


最終更新日:2017/09/03