ホンダN-BOX
Honda N-BOX
見かけはオーソドックスに。中身は最新技術投入

 ホンダは軽乗用車のニュー「N-BOX」を9月1日に発売した。先代モデルは累計で112万台というヒット作、しかも、旧型の売れ行きが好調という中でのモデルチェンジとなった。そういう意味ではあまり大胆なことはできないということでもあり、開発陣にはジレンマもあったのだろうと思う。全体的な印象は先代からの正常進化という感が強いものとなった。
 ただ、全タイプにLEDヘッドライトを標準装備したり、ルーフ溶接にレーザーブレースを使用することで段差をなくし一体感のあるデザインとするなど、細部にこだわった感はある。室内は車格感や空間の広さは先代を踏襲している。多彩なシートアレンジも特徴のひとつで、 助手席スーパースライドシートは57cmとなった。これは生活シーンに応じて重宝に使える工夫と言えるだろう。
 新型N-BOXは走りの機能でも先代から一歩進化した。まず軽量化の部分にそれは表れている。高効率フロアフレームの構造や高張力鋼板の適応拡大、新しい接合技術を導入したことで約80kg先代に比べて軽い。内訳で見ると、実際にボディ、シャシー、エンジンなどクルマとしての基本的な部分では150kg程度は軽くなっているという。装備の充実など商品力アップの部分で70kgのプラスとなり、差し引きでこの数値ということなので、たっぷりと中身のつまった軽量化とでも言えばいいだろうか?
 ただ、先代ではひとつの売りにしていた、Bピラー内部のホットスタンプ材(熱間プレス)の使用はされていない。これは、技術や材料の進化で、取りやめになったということだった。
 エンジンに関しては、自然吸気エンジンの方にi-VTECを採用し、ターボエンジンについては電動ウェイストゲートを採用している。これらはともに軽自動車としては初めてとなる。走行性能の部分ではCVTの高効率化やサスペンションの高性能化も図っており、軽量なボディと相まって、走りも期待できる。
 もうひとつのトピックとしては、現在は欠かせなくなった衝突軽減ブレーキや誤発信抑制機能、ACCなどの基本機能に加え、オートハイビーム、Honda初となる後方誤発進抑制機能を追加したHonda SENSINGを全タイプに標準装着したこと。この辺は大きな魅力となる。
 価格は「N-BOX」が138万5640円(G•Honda SENSING:2WD)〜188万280円(G•EXターボHonda SENSING:4WD)、「N-BOX Custom」が169万8840円(G•L Honda SENSING:2WD)〜208万80円(G•EXターボ Honda SENSING:4WD)。
 またN-BOXの発表と同時にハンディータイプの蓄電機「LiB-AID E500」を発表した。これは家庭用コンセント、もしくはクルマのアクセサリーソケットから充電できるポータブル電源。インバーターを搭載しているため直流にも交流にも使用できる。約6時間の充電で、300Wの電気が約1時間取り出せる。消費電力が500Wを越える電気製品以外ならどんな電気製品にも使える。税込み価格は7万9920円、クルマ電源用のアクセサリーソケット付きは8万6400円。
報告:飯嶋洋治
写真:佐久間健

モデル末期でも売れ行きは落ちなかった。Nシリーズでホンダ車国内販売の3割を占めるという。成功の理由は広さと使いやすさだろうというのがホンダの自己分析。

左の人が持っているのが同時に発表されたポータブル蓄電機「LiB-AID E500」。「ホンダは自動車だけではない!」というアピールの意味もあるとか。行動範囲が広まるアイテムだ。

コマーシャル・テーマは「N for Life」。脱クルマ的な匂いもするけど、これは最近の流行り。バリエーションは、普通のノーマルとスポーティなカスタムがある。

助手席が57cmスライド。助手席から運転席への乗り込みや運転席から助手席側に降りたりするのに便利。車内の移動もずっとしやすくなった。(スーパースライドシート仕様)

インパネは無理のないデザイン。馴染みやすい。この気楽さもN-BOX好評の一因だろう。

自然吸気エンジンにはi-VTECを、ターボには電動ウェイストゲートを採用している。ともに軽自動車としては初。燃費はNAが24.2〜27.0km/ℓ、ターボが23.0〜25.6km/ℓ。


最終更新日:2017/09/05