日産リーフ
NISSAN LEAF
日産と世界の未来を占う。ガソリン車廃止後の主流たるか

 午前9時30分。千葉・幕張メッセ。ホール9&10。
 招待状には「World Premiereイベント 新機能のデモンストレーションを予定しております。」とあった。主役は日産の誇るEV、2代目リーフだ。初代はフル充電で200km(その後280kmに増えた)という当初の走行距離の短さなども足かせになって、初期の販売はそれほど伸びなかった。ただ結果的には、先見の明というか、ここにきてヨーロッパなどからEVに対する追い風が吹き始めた。テスラ・モデル3の好調ぶりの影響もある。
 さて話はプレゼンテーションのあとになる。通常は展示されているクルマをサラーっと見て回る。説明員の方や役員にちょこちょこと声をかけながら……。でも、この日は違っていた。発表の時は前の方に座っていたから気づかなかったが、外国のプレスがやたらと多いのだ。60か国以上からだという。ざっと見て1000人近くか。大げさに言えば海外のプレス発表に投げ込まれたようだ。
 実物を使ってのメカニズムの説明は当然として、随所で日産のVIPによるいくつもの小規模のプレゼンや新しい機能を体験できるゲームもあった。自動パーキングの体験もあったが、これはクジにはずれた。
 いくつも並べられた展示車の周囲では外国のプレスがカメラマンとともに中継に忙しい。活気がある。なるほど──World Premiereの意味が分かった。
 2代目リーフ。まず変わったのはスタイルだ。初代は洗練されているとはい言いがたかった。EVパイオニアとして、デビューさせることが最優先だったのだろう。でも斬新さだけで語ればプリウスの方が上。ただし、プリウスはやり過ぎの感もある。サイズはほとんど変わらず、つまり扱いやすい大きさだ。
 充電も先代同様に前方から。急速充電なら40分で8割に達する。先代は30分だったから長くなったような気がするかもしれないが、これは総容量が増えたせい。バッテリー容量は24/30kWから40kWhになったのだ。この結果、フル充電の航続距離は400kmと最初の倍になった。弱点の一つが消えた。しかも初代発表当時と異なり、急速充電スタンドは5500個所に、充電スタンドは2万8500か所に増えた。これなら安心してドライブに出かけられる。

電気だからこそできる新機軸。EV世界競争のスタートだ
 モーター出力は80kWから110kW(150ps)へと大幅に増加した。もともと発進加速に優れるEVだが、中間加速、たとえば高速道路への合流や追い越しの際、初期加速がそのまま続かないことがあった。その点は大きく改善され、60−100km/h加速タイムは3割ほど短縮されたという。最高速度は140km/h。
 ほどよく未来を感じさせるエクステリアに対してインテリアのデザインからはあまり未来は感じられない。すべてに未来をアピールしなければならなかった初代と違って、おそらく今後、日産のコアとなるモデルだから、むしろフツーは大切なのだ。
 当然のようにレベル2の同一車線自動運転支援システム「プロパイロット」を搭載する。新たに加わったのはプロパイロット・パーキングだ。アクセル、ブレーキ、シフト、パーキングブレーキをすべて自動でやってくれる。縦列、並列、車庫入れ、前向き、後ろ向き、なんでもOKだ。時間的にはともかく、便利さは高い。
 もう一つ注目したいのが「e-Pedal」。これは発進・加速、減速、停止、下り坂での停止保持のすべてがアクセル操作だけでできる。ノートe-Powerにも似たようなワンペダルだが、リーフは完全に停止まで自動的にできるのが違い。これはノートe-Powerと異なり回生ブレーキだけでなく摩擦ブレーキも使うからだ。ノートでは7割くらいだった通常運転での使用率が約9割になるという。
 日本での発表は月6日(発売は10月2日)だが、欧米でのローティングは18年の初め。ちょっと誇らしい気がした。日本での販売価格は315万360円〜399万600円。従来よりも2万8000円から13万円安い。18年度中にはハイパワーバージョンを出すという。
 「リーフは単なるEVではない」と首脳陣は語る。その言やよし。しかしそれがユーザーにどこまで届くか。先駆者であるのは確かだとしても、今後激化すると思われるEV競争にどう打ち勝ってゆくか。一番乗りは必ずしも勝利の証ではない。
 会場の外では午後の部に備えて1000人を越えるであろう全国日産ディーラーの社長たちが並んでいた。
報告:神谷龍彦
写真:怒谷彰久

細部には多くの工夫が見られるが、全体としては先代よりはるかにすっきりしたエクステリアになった。

空気抵抗もしっかり計算されたデザイン。テールランプの形状や、ルーフスポイラー、アンダーカバーが新鮮。

インパネは思ったよりオーソドックスだった。e-Pedalやプロパイロットのスイッチはセンターコンソールに。

モーターの最高出力は110kWに増えた。充電は先代と同じく前から行う。400km走れればまず十分だろう。

一見、回るプールのようだがさにあらず。いったん離れても自動で前車との差をセットし直しグループで走る。

海外からのプレスの多さにびっくりした。会場で原稿を打ち撮影。こうしてリーフの情報は世界に発信される。


最終更新日:2017/09/07