ルノー メガーヌ
Renault MEGANE
まずスポーツ性の高い3モデルから日本を攻める!

 ルノーの新型メガーヌが日本でもようやく発表された。ヨーロッパでは2015年にお披露目済みだ。写真ではルーテシアの上級版という雰囲気に見えたが、実物は意外に異なる印象。有機的な抑揚が目立つルーテシアよりも、全体に比較的シャープな面と線で構成され、上級モデルらしい上質感も漂う。
 現在、欧州Cセグメントでは、フォルクスワーゲン・ゴルフ、プジョー308などが、ケレン味のないデザインで勝負しているが、メガーヌの新型もやはり端正な正統派的デザインでそこに割って入った、ようにも思える。欧州において、Cセグメントのハッチバック車は、デザインも中身も競争が激しく、クオリティの高さが必須だと見受けられる。
 新型メガーヌは、微妙な彫刻が施されたボンネットまわりも含めて、フロントマスクの精悍さが目につく。とくに「GT」はグリルのデザインも印象的。ちなみに内装の担当は日本人デザイナー。各社デザイン部門の国際化が進む中で、ルノーでも複数の日本人が活躍している。
 販売の主力モデルはGTだという。ルノー車において、GTはルノー・スポールが開発するモデルで、トップモデルの「R.S.(ルノー・スポール)」に準ずるスポーティーな仕立て。この下には「GT-Line」も存在し、ルノー・スポールの介入は軽度になるが、より安価で敷居の低いモデルとして用意される。
 本国にはベーシックなグレードも当然存在するが、ルノー・ジャポンは同社が掲げるFTS(フレンチタッチ・スポーツ・トレンディ)戦略に沿って、スポーツ性の高いモデルに絞って販売することにした。背景には従来型の販売は、ベーシックモデルがふるわなかったということもある。
 欧州で先ごろ発表されたR.S.は、当然今後日本に導入されるはず。ルノー・スポール系モデルは、日本では、スポーツ好きのドライバーから絶大な支持を得ている。技術的な目玉は、4コントロールと称する後輪操舵の採用(GT系)だ。電子制御で、走行モードにもよるが、基本60km/h以上では同位相、それ以下では逆位相に後輪が操舵され、逆位相時に最大で2.7度ステアする。もともと操縦安定性に高い評価を持つルノーが、こういうハイテク的な装置を使うのは意外にも思えるが、これにより、高速域ではレスポンスがよくスタビリティの高い操縦性が得られるという。
 また、走行モードや、メーターの色などの車内環境を好みで変更できる、ルノー・マルチセンスが設定される(GT系)。「コンフォート」や「スポーツ」など4種のモードがあり、走行関連では、パワーステアリング、エンジンレスポンスとサウンド、7速AT(EDC)の変速タイミング、4コントロールのレスポンスなどが変化する。このほか、車線逸脱警報やエマージェンシーブレーキサポート、イージーパーキングアシスト(GT系)などの、ADAS(運転支援システム)も装備される。
 GTが1.6直噴ターボ(151kW/205ps)、GT-Lineが1.2直噴ターボ(97kW/132ps)を搭載し、いずれも7速のEDC(DCT)との組み合わせ。税込み価格は、GTが334万円、GTのワゴン版であるスポーツ・ツアラーGTが354万円、GT-Lineが263万円。発売は11月9日からだ。
報告:武田隆
写真:佐久間健

ボディはハッチバック(写真)とスポーツ・ツアラー(ワゴン)の2タイプ。顔が目立つ。

全体はオーソドックスだがリアはより個性的。左右に長いランプとエキパイがユニークだ。

4コントロール搭載車(GT)の最小回転半径は5.2mだが、非搭載だと5.6mになる。

ステアリングのGTエンブレムがちょっと得意げ。シートのホールドも良さそうだ。

GTのエンジンは151kW(205ps)の1.6ℓ。GT-Lineは97kW(103ps)の1.2ℓ。

発表会にはルノーのF1マシンも展示された。そのステアリングはこんなに小さく派手だ。


最終更新日:2017/10/07