スズキ クロスビー
SUZUKI XBEE

新しい“相棒”はドライバーを変えられるか?

 「ハスラーとどう違うのですか?」
プレゼンテーション後の質疑応答でもっともな質問が出た。鈴木社長、答えて曰く。
 「ハスラーではなくイグニスとなら競合するかもしれません。互いに販売台数を伸ばせていけたらと考えています」
 小型車のクロスビーと軽自動車のハスラー、写真ではよく似ている。とくにヘッドライトのデザインは──。でも、実際に目にすると存在感が違う。もちろんクロスビーの方が大きい。それでも全幅は1670mmにとどまる。不要なサイズアップはしない。ただ全高は1705mm、ハスラーよりも背は高い。日本のタワーパーキングは無視だ。
 これには180mmという最低地上高(ハスラーと同じ)も影響している。普通は150mm前後だから+約30mmはSUVスタイル(ワゴン×SUV)のアピールだろう。実際にどれだけ必要かどうかはともかく、高い最低地上高は精神的な安心感につながる。
 エンジンは言うまでもなくハスラーとは異なる。クロスビーは1リッター直噴ターボのみ。出力は73kW(99PS)で、自然吸気エンジンはない。なぜか? ハスラー愛好者の中に「大人4人と荷物が積めて、もっと余裕ある走りができるクルマがいい」という声が大きかったからだ、と高橋チーフエンジニアは説明する。事実1.2リットルの自然吸気エンジンよりもパワーもトルクもグッと向上している。
もっとみんなで楽しもうゼイ!という感じ
 コンセプトは“もっとみんなで、もっと遠くまで、もっと人生を楽しむ”。“今までにない小型車であり、人生を変えるような愛すべき相棒となること”。う〜ん、けっこう欲張りだなあ。そのためには、パッケージング、デザイン/ユーティリティ、安全技術、4WD性能、好燃費が必要になる。
パッケージングではゆとりのある室内空間を、デザインでは豊富なカラーバリエーションと多彩なラゲッジスペースを、安全技術では先に発表されたスペーシアのレベル(サポカー最上位のSワイド)を、4WD性能では2つの走行モードやぬかるみからの発進サポート等を備える。
 とくにリアシートの余裕は大きく、前席との間隔はイグニスに比べて最大155mmも長い。同時にショルダーとヘッドのクリアランスも拡大されている。前席ではそれぞれイグニスよりも130mm、55mm大きく、後席では同比100mmと90mmになる。頭上空間の増大はAピラーを立てたことが大きい。これらのことからも想像できるように、イグニスはパーソナル色が強く(カップルなどを想定か)、クロスビーは比較論で言えばファミリー色とオフロード色が強い。
 グレードはMXとMZの2タイプでそれぞれに2WDと4WDが用意される。2WDの燃費は22.0km/ℓ、4WDは20.6km/ℓ。価格は176万5800円から214万5960円。月販予定台数は2000台。小型車の年間販売目標10万台を11月で達成したスズキは、クロスビーも含めてまず年間12万台を目指す。現時点ではクロスビーの輸出は予定していないが、状況によっては可能性がないわけではないと言う。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

ハッチバックやミニバンの販売は下降気味。調子がいいのはSUVとコンパクトワゴン。で、クロスビーというわけ。

ボディカラーはとっても豊富。ルーフとの2トーンに、ドアスプラッシュガードも加えた3トーン、そしてモノトーンも。

ラゲッジスペースにも工夫がいっぱい。ラゲッジボードを外してベビーカーを積み込めば左右に手荷物も置ける。便利!

インパネは最近多い水平基調。スピードメーターは見やすそうだし、スイッチ類もよく整理されている。

エンジンは1リッター直列3気筒ターボのみ。モーターを組み合わせたマイルドハイブリッド方式を選択。

タイヤは16インチ(175/60R16)。トランスミッションは全車6速AT。


最終更新日:2017/12/26