三菱 エクリプスクロス
MITSUBISHI MOTORS ECLIPSE CROSS

4年ぶりの新車発表、最後の“三菱車”。気合満々

 本当に久しぶりである。三菱自動車の新型車発表会。ニューモデルの名は「エクリプス クロス」。コンパクトSUVである。このところのSUVブームのなかにあってもそのデザインはひときわ目立つ。
 ワールドデビューは昨年のジュネーブショー。昨年末に、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN諸国に、今年に入ってからは北米向けに輸出をしている。最終的には82カ国に展開する予定のグローバルカーだ。国内ではすでに5000台の予約注文を受けているという(月間販売目標は1000台)。
 もちろん売れるに越したことはない。しかしエクリプス クロスは三菱としては特別な思い入れがあるモデルなのだ。今や日産自動車と手を組まざるを得なくなった同社にとっては、これが最後の純三菱車である。三菱の持てる技術のすべてをつぎ込んだ。エクリプス クロスの開発には日産の影響はない。
 エクリプス クロスの特徴は(1)行動意欲を掻き立てるデザイン、(2)新たな楽しみへの閃きをもたらすコネクティビティ、(3)安心して楽しめるドライビングフィール、とチーフデザイナーは説明する。
 デザインの特徴は高いヒップポイントによる見晴らしのよさと広い室内空間だ。そしてエクステリアの基本はスタイリッシュなクーペであること。これがエクリプス クロスに都会的な印象を与えている。フロントデザインもいい。力強く個性的だ。リアウインドー位置は高めの設定だが、上下に二分することによって全体としては広い後方視界を確保している。
 インパネはエクステリアに比べるとシンプルだ。水平基調で、最近のモデルとしてはすっきりしている。リアシートは200mmも前後にスライドし、しかも背もたれは9段階にリクライニングする。リアシートを60mm前にスライドさせればゴルフバッグ4個、最後端まで下げても3個入るという。
 コネクティビティ関係ではスマートフォン連携ディスプレイやタッチパッドコントローラーを一部グレードに標準装備する。この分野は今後ますます強化されるだろう。
1.5リッター直噴ターボ。中低速トルクが魅力だ
 ドライビングフィールでまず挙げておきたいのは「S-AWC=Super All Wheel Control」だ。これはアクセル開度や車速、車両走行条件によって4WD車のトルク配分を適切に配分すると同時にアクティブ・ヨーコントロールを加えた車両運転統合制御システム。プレゼンテーションを担当した増岡浩氏によれば、「アクセルONコーナリングでもアクセルOFFコーナリングでもコントロールしてくれます。その人の走りに応えてくれるんです。」そうだ。
 エンジンは新開発の1.5リッターダウンサイジング直噴ガソリンターボ。最高出力は110kW(150ps)とまあ今日では標準的だが240Nmの最高トルクはかなりのもの。三菱は2.4リッター自然吸気エンジンを凌ぐ中低速トルクだと胸を張る。ディーゼルは18年度中に欧州向けに、日本向けにも検討中だという。さらにPHV搭載もあるとのことだ。トランスミッションは8速スポーツモード付きのCVTである。
 安全装備に関しては、グレードによる差はあるもののほぼ時代の最先端をいく。
 バリエーションは2WD、4WDともに3グレード。消費税込みの価格は2WDが253万2600〜2874万9280円、4WDが274万8600〜309万5280円。
 なお、同社の今後のモデル展開は、ジュネーブショーで「アウトランダー」のPHVを発表し、50周年の今年は「D5」のフルモデルチェンジもスケジュールに上がっているという。

報告:神谷龍彦
写真:怒谷彰久

クーペデザインを基本とするSUV。全幅1805mmは現代の標準サイズ。最低地上高は175mm。

力強さとモダンさを両立させたフロントビュー。嫌味を感じさせずに。個性をアピールする。

高めのリアウインドーを二分して後方視界の確保を図った。荷室スペースもかなり広い。

水平基調のダッシュボードはデザイン的にはシンプル。コネクティビティ対応はバッチリ。

3点式ストラットバーでも支えられる1.5リッターガソリン直噴ターボ。今年度中にはディーゼルも。

後方の視界はリアウインドーを上下に分割して確保。車内からはこんな感じになる。


最終更新日:2018/03/04