ニューヨークショー(3月30日〜4月8日)で衝撃的デビューを果たしたのがあの高級車メーカー“キャデラック”の「XT4」だ。全長は4.6mにも満たないSUVである。ほかにも、トヨタの「RAV4」やアキュラの「RDX」などがその姿をお披露目した。いわゆるコンパクトSUVがスターだった。
SUVというのはもともとアメリカの概念だが、これを乗用車の世界に落とし込んだメーカーのひとつがBMWである。クルマはX5、日本導入は2000年だった。BMWはSUVとは呼ばずにSAV(BMWが商標登録済み)と呼ぶ。つまり、スポーツ・ユーティリティ・ビークルではなくてスポーツ・アクティビティ・ビークル。当初はどっちでもいいだろうと思ったが、どうやらBMWにはBMWとしての確固たる考え方があったらしい。つまり使い勝手よりも走りに重点を置く、というような。
BMWはその後もX3、X1を市場に問う。そのどれもよく売れた。偶数モデルはSUV色が強いが、偶数モデル(X4やX6)はクーペ色が強い。今やBMWの3分の1をSAVが占めるという。
ここに新たに投入されたのが「X2」だ。X1と同じプラットフォームを使う。FF駆動がベースで、前輪駆動はsDrive、4輪駆動はxDriveと呼ばれる。
全長はX1よりも80mm短い。特筆すべきはその全高だ。SUVとしては異例なほど低い1535mm。X1よりも65mmも低い。X3比ではマイナス140mmにもなる。これなら立体駐車場にも楽々入れられる。しかし全幅はX1とほぼ同じの1825mm。現在のコンパクトSUVの標準的数値だが、真ん前から見るとやはり大きい。
デザインで特徴的なのはキドニーグリルのカタチが微妙に変わったこと。上部よりも下部の方が広い五角形(ヘキサゴン)になった。サイドではBMWらしいホフマイスターキンクを採用。リアの後方でグッと切れ上がるスタイルだ。CピラーにはBMWマークが入る。ルーフはもちろん思いっきり滑らか。クーペの面目躍如だ。
エンジンは1.5ℓ3気筒ターボ(103kW)と2ℓ4気筒ターボ(141kW)の2種類。現時点ではディーゼルは導入されていない。このあたりがX1やX3とは異なる。モデル名は3気筒が18i、4気筒が20iとなり、それぞれにM Sport Xが用意される。トランスミッションは18iが7速DCT、20iが8速ATである。
「2018年はXの年です」。クロンシュナーブル社長は言う。X2のほかに秋にはX4の導入が確実だし、そのあとにはX7も待機している。
安全装備も充実している。レーン・ディパーチャー・ウォーニング、前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキなどは全車に標準装備。ただし、ストップ&ゴー機能付きACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)はオプションになる。ターゲット・ユーザーは30代のシングル、もしくはカップルだという。
X2のコンセプトは「UNFOLLOW」。この場合は、常識にとらわれないとか反逆者とかいうような意味。発表会場には、BMWのブランド・フレンドに就任した元SMAPの香取慎吾氏も顔を見せた。X2のコンセプト・ムービーを制作する予定だという。
X2の価格は436万円〜515万円。実際のデリバリーは少し遅れて5月下旬から6月になるらしい。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健
キドニーグリルのカタチが少し変わり下部が広いヘキサゴンに。エアスクープとともにワイド感が増した。
グリーンハウス下部の水平ラインが後端で前に上がるホフマイスターキンク。CピラーにはBMWマーク。
最低地上高は180mm。X1やX3は200mmを超える。たしかに単にSUVと呼ぶにはスタイリッシュすぎる。
乗用車とまったく変わらないインパネデザイン。それでも座面は高めに設定されているから視界はいい。
エンジンは1.5ℓ3気筒(103kW=140ps)と2ℓ4気筒(141kW=192ps)。ともにツインターボである。
左が香取慎吾氏、右がクロンシュナーブルBMW社長。嫌味の少ないキャラクター選びだと思う。