BMW ミニ
BMW MINI

微妙な化粧直し。でもいいと思う

 「8年連続で販売台数を伸ばせました。この間に販売台数は2倍以上に。2017年には2万5000台を超えました。しかし、これからはもっと競争が厳しくなる。車以外の分野も含めた本物感をアピールしたい。」
 MINI本部長のフランソワ・ロカ氏はこう挨拶した。
 いずれにしてもMINIは好調だ。今回のリフレッシュの対象となったのは全幅1725mmの3ドア、5ドア、コンバーチブルの3タイプである。幅1800mmを超えるクラブマンやクロスオーバーは含まれていない。
 マイナーチェンジの中心はデザインだ。ヘッドライトの周りに丸いLEDのデイライト・ランニングが装備された。ポルシェ911と同じように常に点灯する。丸目をよりクッキリ見せたいということか。
 エンブレムも変わった。これまでの立体的なものより平面的でシンプルなデザインに。このCI(コーポレート・アイデンティティ)はこれまでどおり車体前後とステアリングに装着される。
 リアランプも変更を受けた。左右合わせるとユニオンジャック風に見える。ただし、横のラインが方向指示器、縦がストップ、クロスのラインが尾灯だから、BMWが狙ったほどには明確じゃない。ユニオンジャックといえば、インテリアの助手席側のボードにもユニオンジャックが配される(オプション)。12色のグラデーションで表示されるが、派手過ぎないのがいい。
 エンジンは、──ボディによって差はあるが──ガソリン4タイプ、ディーゼル2タイプの計6種類。すべてツインターボを装着する。ガソリンは1.5ℓ直3(75kW/100kW)と2.0ℓ直4(141kW/170kW)、ディーゼルが1.5ℓ直3(85kW)と2.0ℓ直4(125kW)だ。
 BMWは“パワートレインの”一新”をうたうし、事実その通りなのだろうが、数値的面は従来と変わらない。おそらく環境対策とドライバビリティの向上を目指したのだろう。
何と言っても気になるのは7速DCT
 今回、BMWは“Back to DNA”や“英国回帰”をさかんに訴える。丸型ドライビングライトの強調やユニオンジャックのアピールなどはその一環だろう。しかしゴーカート・フィーリングとなると重要なのはガソリン・エンジン車用の新開発トランスミッションだ。従来の6速ATが7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション=ステップトロニック)に変わった。ジョンクーパー・ワークスは新開発の8速ATを搭載する。また、3ドアのすべてのガソリン車には6速MTも用意される。
 装備も充実した。マルチファンクション・ステアリングは全車標準装備、ナビゲーションはONE以外に標準で付く。そのせいもあってか価格は全体的に少し上がった。3ドアは238万円〜450万円(ワークス)、5ドアは271万円〜407万円(クーパーSD)、コンバーチブルは373万円〜523万円(ワークス)である。
 最近はコネクテッドという車載通信モジュールを搭載するクルマが多い。MINIも同様だ(ONEを除く)。内容はMINIコネクテッドアプリ、オンライン、ドライバー・サポート・デスク、SOSコール、それにオプションだがApple CarPlayにも対応する。
 MINIコネクテッドアプリは、アップル社製のスマートフォンを使う。その一例としては、ドアロックの開閉、ベンチレーション起動、自車両サーチ(1.5km圏内)、パソコンなどで作ったナビ・データを車両に送ることなどなど。ニュースや天気予報も見られるし、ドライバーが事故などで気を失ったような場合でも救急対応してくれる。これからのコネクテッドの基準になりそうだ。
 スペックには表れないが確実に手を入れられたエンジンなどの印象は今月中旬にお届けする試乗記をご覧いただきたい。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健 怒谷彰久

クーパーS/SD以上はボンネットにエアインテークを装備する。丸目デイライト・ランニングは全車共通。

3ドアと5ドア、コンバーチブル。MINIの中心モデルすべてが対象。もちろんWORKSも。

このコンバーチブルなかなかオシャレだ。ワークスは高めだが、クーパーなら373万円で手に入る。

新しいCIはすっきりしている。細かい変更だがMINIファンにとっては大きな関心事だろう。

左右対象でユニオンジャックをデザインしたテールランプ。英国回帰にこだわるのもMINIの作戦か。

インパネほぼ変更なし。ちょっと見にくいが助手席前にユニオンジャック。ガソリン車のトランスミッションは7速DCTと8速AT(ワークス)。ともに新設計だ。


最終更新日:2018/06/10