ジープ ラングラー
JEEP WRANGLER

あのCJ-5のデザインを忠実に再現している

 何と言っても11年ぶりのフルモデルチェンジである。ジープ・ラングラー──1941年にデビューしたウイルス(Willys) MBに端を発するクロスカントリーモデルだ。アメリカ陸軍の要求に応えるべく開発された、小さくて、軽くて、ドアや屋根も簡単に取り外せる4WD。アメリカ型SUVの誕生でもあった。
 このクロスカントリーのデザインは1955年に登場した民間用ジープ(CJ-5)を強く意識している。その時のデザインアイデンティティは、7本スロットのフロントグリル(ウイリスは9本スロット)、ボディから飛び出した台形のフェンダーアーチ、そしてスロットに食い込む丸目のライト、新型ラングラーはこれらのデザイン要素をすべて引き継ぐ。一目でラングラーだと分かる。これは機能にこそ差はあるものの、インテリアも同じ路線上にある。
 ウイルスの後もこの流れは続くが、このラングラーというネーミング自体の誕生は1987年まで待たなければならない。初代ラングラーをYJシリーズと呼ぶ。このときホイールベースが延長された。一方ヘッドライトが角型になったが、次のTJシリーズ以降は丸目に戻る。
 こうしたクロカンの流れの隣では、ワゴニア、チェロキー、グランドチェロキー、レネゲード、コンパスというちょっとユルクてラグジュアリーな“ジープ”が作られてきた。しかし、ジープという名前を聞いて多くの人が思い浮かべるのはおそらくCJシリーズだろう。

北米以外では日本がラングラーの最大マーケット
日本でジープの輸入権を持つのはFCA ジャパン(アルファロメオやフィアットなども)である。同社によるジープの販売は好調で、2017年に1万台を超え2018年には1万2000台に達するらしい。これは2009年の販売台数がわずか1027台だったことを考えると驚異的である。
 このうち約40%(約4000台)を占めるのがラングラーだ。日本はアメリカを除くと世界最大のラングラー・マーケットなのである。「いいものをつくればちゃんと売れるんですよ」と、文句ばかり言っているどっかの国の大統領に伝えたい。ちなみに日本の次は中国。以下、韓国、ドイツと続く。
 さて、これだけの伝統をもつラングラーのフルモデルチェンジ、その発表会は少し違ったカタチで行われた。場所は千葉県舞浜のディズニーランドホテルの隣に位置する舞浜アンフィシアター。会場に入ってちょっと驚いた。報道陣もいるにはいるが圧倒的に一般人の方が多い(ラングラー・ユーザーか)。ステージにはFCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長、デザイン解説はエクステリアデザインの責任者クリス・ピシテリ氏、そして特別ゲストの坂本龍一氏らが順次登場した。
 現時点でのグレードは3タイプ。2ドア(全長4320弌砲離好檗璽帖4ドア(全長4870弌砲離▲鵐螢潺謄奪鼻Ε好檗璽弔肇▲鵐螢潺謄奪 サハラ ローンチ・エディションだ。全幅はともに1895弌SUVが大型化する傾向にある最近では特別広いわけではない。
外観では、スポーツとアンリミテッド・スポーツがハロゲンヘッド、ブラックのオーバーフェンダー、アンリミテッド サハラ ローンチ・エディション はLED、ボディ同色のオーバーフェンダーになる。これまでのラングラーと同じようにフリーダムトップやドアを外すこともできる。空気を切って走る、いかにも気持ちよさそうだ。さらに、ワイパーとボルトを外してフロントウインドーをボンネットに倒すこともできるが、日本ではこの状態で公道は走れない。

自由への性能は超一流。4WDシステムも新しくなった
 エンジンは、スポーツとアンリミテッド サハラ ローンチ・エディションが改良版の3.6リッターV6(284馬力 347Nm)、アンリミテッド・スポーツは新開発の2.0リッター直4ターボ(272馬力 400Nm)。最高出力は2.0が上回るが、3.6は最大トルクをわずか1100回転で発生する。実際のオフロード走行ではこの特性はユーザー・オリエンテッドになるだろう。
 4WDシステムも新しくなった。従来の手動切り替えのパートタイム4輪駆動(FR⇔4WD)に加えて、前後の駆動配分を自動で切り替えるオンデマンド方式4輪駆動を装備する。この駆動切り替えはセレクトレバー横の切り替えレバーで行う。この切り替えによってセンターデフをロックするローギアモードも選べる。トランスミッションは8速ATである。アプローチアングルはクラストップレベルの44度、デパーチャーアングルは37度。渡河性能は76.2僉どこから見ても本格的クロスカントリーだ。
 強固なボディを確保する一方で軽量化対策も抜かりない。ドア、ヒンジ、フェンダー、ウインドシールドフレーム、スイングゲートパネルにアルミニウムを、スイングゲートのフレームにマグネシウムを採用し、燃費の改善を図った。ちなみに、2.0リッターは11.5/ℓ、3.6リッターは9.2~9.6/ℓである。使用ガソリンがレギュラーというのもありがたい。このほかリアバックアップカメラやリアパークアシストなど安全サポートシステムもほぼ今日の標準レベルにある。
価格はスポーツ=459万円、アンリミテッド・スポーツ=494万円、発売記念仕様のアンリミテッド サハラ ローンチ・エディション=530万円。発売日は11月23日。また来春にはアンリミデッド・ルビコンが発売される。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健 FCAジャパン

リア・スイングゲートに装着されたスペアタイヤの位置が下げられるなど、視界はグッと改善された。

7本スロットグリル、丸目ヘッドランプ、台形オーバーフェンダー、初代の意匠を忠実に再現した。

全長は2ドアが4320弌4ドアが4870弌55cmの違いは大きい。フロントガラスは燃費のため5.8度ねかせた。

インパネは伝統を重んじて水平基調。装備は今日的に一新されたが、見た目の雰囲気は変わらない。

左から、エクステリアデザイン担当のクリス・ピシテリ氏、FCAジャパン社長(兼CEO)のポンタス・ヘグストロム氏、そして特別ゲストの坂本龍一氏。

ジープの元祖ウイリスなど歴代モデルも多数会場に展示されていた。スリットグリル(9本だけど)、丸目ヘッドライトなど、いかにデザインエレメントが変わっていないかが分かりいただけるだろう。


最終更新日:2018/11/05