「MAZDA EX-7」──新型ローターリーエンジンを搭載したRX-7の後継機種と思いきや、EX-7は「エッグス セブン」と読み、タマゴ7つを効率的に茹で上げるタマゴ専用ボイルマシンである。
なぜマツダが自動車以外の商品に、注目したのだろうか。クルマ以外のより身近な製品で、マツダのモノ造りの精神を感じて頂くことでお客様の生活をもっと豊かにしたい、としてEX-7は開発された。初期試作品を造ったのは金井誠太代表取締役会長。「家事に貢献的で、料理にも興味はあるものの、”ゆで卵”に限定されていた……。会社では仕事に最善を尽くす。理想を追求する精神に基づきゆで卵を作ろう」と考えた。
課題は、道具としての美しさ、サスティナビリティー、保有するものの喜びの付加だ。デザインは、金型鋳造による精緻な美しい素材感と、不要な要素を省いたシンプルな形。金属パーツの緊張感ある美しさと、ダイナミックな取手部の造形により凛とした佇まいの中にも、ぬくもりを感じるデザイン。鋳肌面と、ハンドル上部の座面には、ロータリーを感じさせるグラフィック処理を採用した。
マツダのモノ造りに対する情熱とこだわりは徹底している。マツダのモノ造りのプロセスと同様、「匠の技」と「最新技術」を融合させ、最大効率を目指して試作品を製造した。金型を設計製作し、HPD(高圧ダイキャスト)マシンでSKYACTIVエンジンと同じ生産ラインで鋳造し、品質確認するという、徹底したこだわり。ネーミングには、マーケティング・営業部門の英知を結集して「MAZDA EX-7」とした。
使用方法を説明しよう。
(1)「EX-7」の上部の突起に、たまごの丸い方を軽く打ち付けて、カラに小さなヒビを入れる
(2)鍋に深さ2センチくらい水を入れ、「EX-7」を立てる
(3)ヒビを上にして、たまごを「EX-7」に立てる(最大7個まで)
(4)鍋を火にかけて、水が沸騰したら弱火にしてフタをする
(5)沸騰してから14分くらいで半熟たまご、18分くらいで堅ゆでたまごとなり、時間がきたらすぐに水で冷やしてできあがる。
特徴は、ヒビを入れてゆでるから、カラがむきやすい。立てたままゆでるから、黄味が真ん中。使う水が少ないから、少し省エネ、短時間。すぐに食べない時は、立てたまま保存可能。
最後にお断りしておく。これはあくまでも記念品として造られたもので、市販化はされないようだ。
怒谷彰久