スバルのミドルサイズSUV「フォレスター」が、自動車アセスメント(JNCAP)の「自動車安全性能2025ファイブスター大賞」を受賞。日本一安全なクルマである事を証明するため、実際の衝突実験を報道陣に公開した。
自動車安全性能2025ファイブスター大賞を受賞した理由とは
JNCAPとは、国(国土交通省)と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が一体で1995年から実施している、日本における自動車の安全性能を比較評価するテストのこと。事故を防ぐための新しい技術である「予防安全性能」、事故時に人を守る「衝突安全性能」、重大な事故が発生した場合に備える技術である「事故自動緊急通報」の3つの項目を総合評価するというもので、結果は点数や☆の数でわかりやすく公表される。
フォレスターは、「アイサイト」等の独自技術によって、歩行者や自転車との事故や、交差点での事故を効果的に防止する「予防安全性能」の全ての項目がレベル5でAランク。
独自の技術であるサイクリスト対応歩行者エアバッグを採用し、歩行者頭部保護性能試験で高い評価結果を得るとともに、後面衝突頚部保護試験や座席ベルトの非着用時警報評価試験でも高評価。結果、「衝突安全性能」の全ての評価項目でレベル5のAランクとなった。
また、「事故自動緊急通報」の搭載も高評価を獲得した。
総合評価としてスバル「フォレスター」は総得点198.3点満点中、184.6点という非常に高い得点を獲得し、自動車安全性能2025において唯一ファイブスター賞を獲得。その受賞者の中で最高得点を得たものに与えられる「自動車安全性能ファイブスター大賞」を受賞することになったのだ。
100km/hで「新オフセット前面衝突実験」を敢行
実験が行われたのは、群馬県太田市内のスバル群馬製作所にある広大な屋内衝突実験施設。公開されたメニューはフォレスターを使用した「新オフセット前面衝突」というもので、会員の方ならご存知の方も多いとは思われるが、自車と台車がそれぞれ50km/hで走ってきて車幅の50%の位置で正面衝突し、「自分の車に乗っている人がどれだけ安全か」と「衝突した相手の車に与えるダメージをどれだけ抑えられるか」を点数化するというテストだ。
JNCAPが2024年から導入した新しいタイプの前面衝突実験で、ゼロ時安全や予防安全で防ぎきれなかった事象に対して、最後の“砦”として乗員を守るとともに、衝突相手も守る「相互安全」を重視した方法だ。パーツ飛散時の安全のため、立ち合い者には帽子とメガネ、長袖着用が義務付けられた。
テストでは、「10、9、8・・ゼロ」というテンカウントで会場内の緊張感は極限状態に。静まり返った会場内には「ウイーン」というワイヤーの引っ張り音が次第に大きくなり、50km/h同士(合計100km/h)で走ってきたフォレスターと台車が「ドカーンッ」という大音響を発して目の前で衝突した。ぶつかったフォレスターは一瞬でボンネットがくの字に折れ曲がり、バンパーが前方にちぎれて飛散するとともに衝撃を吸収した内部構造が剥き出しになった。車体後方が2度ほどバウンドして静止するまで、わずか2秒間ほどの出来事だ。
衝突後の車体に近寄ってみると、高強度材を効果的に配置したスバルグローバルプラットフォーム(SGP)、バンパービームの外側拡大、さらにサブフレームを追加したことが効果を発揮して、衝突してもクラッシャブルゾーン(エネルギー吸収ゾーン)とキャビンゾーン(生存空間)がしっかりとエリア分けされていることがよくわかる(写真3)。その証拠にドアノブを引っ張ってみると、ちょっとした抵抗があったものの簡単に手で開けることができたし(写真4)、人間の骨格や筋肉の動きに近い最新型のダミー人形も、ダメージが最小限に抑えられている。
フルラップ前面衝突や、サイクリスト対応歩行者保護エアバッグ展開車両を展示
会場内にはそのほか、JNCAPで実際に使用した「フルラップ前面衝突」(硬いコンクリートの壁に55km/hで正面衝突する)のテスト車両を展示(写真5)。こちらもグシャリと潰れたボンネット部に対してキャビン部分がほぼそのままの形で残っており、生存空間がしっかりと確保されている状態だった。
さらに、歩行者と自転車利用者に対する安全対策を施した、サイクリスト対応歩行者保護エアバッグを広げたフォレスターも置いてあった(写真6)。サイクリストは歩行者に比べて腰の位置が高くなるため、衝突時には体がフードに乗り上がりやすくなり、Aピラーなど車両後方の部位に頭部が衝突するケースが多いという。フォレスターのエアバッグはこれに対応した形状(幅広のU字型)で展開するもので、これもレベル5の最高評価が与えられたポイントなのだという。(了)
報告:石原彰
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写真5
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