レヴォーグレイバックS:HEV試乗 投入の狙いと販売状況は

月販数百台からの回復を目指す、マーケットインのS:HEV投入



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 2023年10月に登場したスバルのSUV「レヴォーグレイバック」は日本専用の新たな都会派クロスオーバーモデルとして脚光を浴び、当初は好調な販売ペースをキープすることができていた。しかしここ1〜2年の状況を見ると月販数百台前後まで落ちていたという。ターボモデルしかないことでの燃費面や、比較的高めの価格設定であったことがその理由。ユーザーやファンからは「ハイブリッドが欲しい」「ターボダクトを無くしてほしい」「全高が1550mmを超えない街中で扱いやすいパッケージングにして欲しい」などの声も上がっていたそうだ。そうした声を取り入れた、プロダクトアウトではなくマーケットインの、カスタマーファーストを掲げて登場したのが今回のS:HEVモデルだ。

開発を早く、値段も安く

 開発関係者によると、S:HEVモデルの開発は2年前にスタート。新規開発だと通常4~5年要するところを、ベースとなったクロストレックS:HEVのAピラーから前やリアのフロア周りを共有した(言葉は悪いが)ニコイチ手法としたことでエンジン、モーター、トランスアクスル、バッテリーの後付けが可能となり、開発期間の大幅短縮を果たすとともに、ゼロベース比で開発費を約半分に抑えることができたという。
 それは販売価格にも表れていて、ベースグレードの「プレミアム ブラックS:HEV」の386万円(以下税抜き価格)は、1.8Lターボモデルと同じで、人気の「フォレスター」よりもリーズナブル。S:HEVモデル化で「Xモード」「コーナリングランプ」「ステアリングヒーター」などを追加装備した一方で、「後席リクライニング(背後にバッテリーを搭載したため)」「後席シートヒーター」「パワーリアゲート」「ハーマンカードンオーディオ」「スマートリアビューミラー」はレス装備(オプション装着可能)となっている。また上級グレードの「プレミアム:HEV」ではそれらのレス装備が標準装備(後席リクライニングはなし)されたほか、美しいタンの「ナッパレザーシート」が奢られて25万円アップの411万円に抑えられた。
 開発を担当した商品革新本部スポーツ車両企画室の小林正明PGMによると「クロストレックと同一構造を採用したことは、価格低減のための“合理化”であって、決して手抜きではありません。お客様にどう思われるかはちょっと心配ですが、見た目も走りも燃費も価格面でもとてもいいい車ができたので、ぜひ乗ってもらいたいと思っています」という。台数的にはターボと合わせて月1200台ぐらいまで伸びれば、と期待しているそうだ。

ターボダクトがなくなった

 パワートレインはシャシーを共用するクロストレックと同じFB25型2.5L水平対向エンジン(最高出力160PS、最大トルク209Nm)と、発電用モーター、駆動用モーター(119.6PS/270Nm)を組み合わせたトヨタTHSベースのシリーズ・パラレル方式(写真03)。これにプロペラシャフトを介した機械式シンメトリカル4WDを採用してスバルらしい走りを実現した。また燃費は19.0km/L(ターボは14.1km/L)ということで、63Lの燃料タンクから計算すると、航続距離は1000kmオーバーを記録する。
 ターボ用のインタークーラーがないことで、ボンネット中央にあったダクトが不要になり見た目はすっきりと上品に(これがあるからスバルらしい、という声もあるにはあったが)。車高を20mm低めた最低地上高180mmとし、全高もそれに応じて1550mmとしたことで、機械式駐車場にもスムーズに入れることができるようになっている。
インテリアは素材やカラーは異なるが、基本的にこれまでのスバル車同様のものとなっている。

 試乗コースは、白馬うさぎ平付近にある狭い九十九折りのクローズドコース。ステアリングを目一杯きらないと曲がれないほどタイトなコーナーが連続するのだが、S:HEVは低速からモーターが後押ししてくれるので、立ち上がりでボディが軽やかにススッと前に出る感じがとても気持ちいい。

 また車高を下げるためにスプリングを短くカットしたのだが、そのスプリングレートは変更なしで、それに合わせてダンパーの作動を徹底して調整したそうで、所々にあるかなり荒れた路面を通過しても上手にそれをいなして、乗り心地の良さをキープしてくれたのは嬉しいところ。低重心化の恩恵もあるのだろう。低くなったとはいえ地上高は180mmをキープしているので、駐車場外の荒地に侵入した際にボディ底面を気にする必要がなかったのもSUVモデルらしいところだ。
 ターボモデルとの比較試乗も行われたのだが、やはりそちらはタービンが回り始めないと本領発揮とはいかない。もっと広いワインディングや、よりハイスピードな領域での走りに適していると感じられた。
 モーター+機械式シンメトリカルAWDに、新たに追加された2モード「X-MODE」によって、シティユーザーだけでなく雪道や悪路を走るドライバーにとってもS:HEVモデルの魅力度は大きくアップした。

S:HEVとターボの2本立てが基本に?

 スバルの人気SUVである「フォレスター」はターボとS:HEVの2本立て。レヴォーグレイバックも同じ構成になった。その一方で、インプレッサやクロストレックが搭載している「e-BOXER」のマイルドハイブリッドは製造が中止となり、2026年9月以降は在庫車販売のみとなるという。(了)
報告:石原彰

最終更新:2026/07/20

 

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