BMW「iX3」に試乗 ノイエクラッセ第1弾の出来栄えは?

かつてのBMW1500を彷彿させる細い縦長のキドニーグリルを装着した「iX3 50 xDrive Mスポーツ」の走行シーン。

SUVらしい力強いラインで構成する「iX3 50 xDrive Mスポーツ」のサイドデザイン。

リサイクル素材による白内装がチョイスされた試乗車のインテリア。


ラウンド形状のダッシュに、平行四辺形のセンターディスプレイやウインドー下部のパノラミックビジョンを組み合わせた、ノイエクラッセらしさ十分のインテリア。

シフトスイッチ周りも独特のデザインを採用した。

走行中にミラーを見れば、自動でウインカーを出して車線変更をスムーズに行ってくれる「レーンチェンジ・アシスト」が作動した。


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 BMWのノイエクラッセ(英語でNew Class=ニュークラス)日本導入1号機となる新型BEVの「iX3」に試乗した。ノイエクラッセといえば、1960年代に登場した1500cc〜2000ccクラスの中型セダンやクーペが最初のもので、当時破産一歩手前のBMWを一気にドイツの一流メーカーにのし上げた大成功モデル群だった。
 2010年代に登場した革新的電動化モデルの「i3」や「i8」をノイエクラッセと語っていても良かったはずなのだが、その時のBMWはメーンの3シリーズをはじめとして販売は好調であり、一方でそれら「i」のつく電動モデルたちは製造コストの高さから販売価格が高額となったため、商業ベースとしては逆に足を引っ張る形に近かった。その反省も含めて、それらの技術的ノウハウを取り入れるとともに量産化と収益性のバランスを融合させたBMWの新たな解答が、今回の第2世代となるノイエクラッセということ。つまりBMWにとって、単なる“新型モデル群”というわけではないのだ。

セダンよりSUVが先

 BMWの新しいノイエクラッセの始まりは、2023年のJMS(ジャパン・モビリティショー)に登場した美しいセダンタイプの「ビジョン・ノイエクラッセ」。一方今回のiX3のベースとなったのは2025年のJMSにお目見えしたSUVタイプの「ビジョン・ノイエクラッセ・Xコンセプト」で、シンプルだったセダンタイプの顔とは異なり、そのセンターにはかつてのBMWモデルが搭載していた細い縦型のキドニーグリルが追加されるとともにボディの厚みを強調するような複雑なラインがあちこちに配され、豊かな表情を持つ一方でちょっとゴチャゴチャとした線や面が気になるスタイルに。新型iX3はほぼそのままのデザインで、セダンより先に登場した。
 試乗した「iX3 50 xDrive Mスポーツ」のボディは全長4780mm、全幅1895mm、全高1635mm、ホイールベース2895mmで重量は2330kg。ノーマルX3よりわずかにコンパクトな体躯に搭載するパワートレーンは、前123kW(167PS)/255Nm、後240kW(326PS)/435Nmの2モーターで、システム最大345kW(469PS)/645Nmを発生する。4WDによるそのパフォーマンスは0-100km/h加速4.9秒というなかなかの快速ぶり。総容量109.1kWのバッテリーの一充電の航続距離は、試乗したMスポーツは835km(WLTCモード 1034万円)、標準仕様(982万円)なら906kmが可能で、こちらは現在日本で販売されるBEV中で最長だそうだ。

技術的特徴としては、
1:800Vシステムと「Gen6」バッテリーを搭載=従来型パックよりエネルギー密度を向上した「セル・トゥ・パック」構造の丸型円筒形セルを搭載し、800Vアーキテクチャと350kW超の急速充電に対応し、最速15分程度で約420km分の航続距離を回復。
2:進化した4WDシステムと、レアアースフリーのモーターを採用=フロントは抵抗の少ない「誘導モーター」、リアは永久磁石を使わない「巻線界磁式動機モーター」を採用。巡航時には後輪駆動が主体。
3:BMWパノラミック・ビジョン=フロントガラス下端に、対角43.3インチ(幅約110cm)の黒帯状のインターフェースを搭載。
4:ダイナミクス統合制御のスーパーブレイン搭載=従来パワートレインと足回りを制御していた100個近くのECUを、超高性能統合型コンピューターに集約。圧倒的に高速の演算スピードで走る・曲がる・止まるを高次元かつシームレスに統合制御するとともに、OTA(ソフトウェア更新)能力を飛躍的に高めた。
などが挙げられている。

インテリアも走りもノイエクラッセ

 インテリアは、楕円形の珍しい縦2本スポークステアリングに、ドライバー側が尖った平行四辺形の17.9インチセンターディスプレイと、フロントガラス下端の左右一杯に広がるパノラミック・ビジョンの組み合わせ。ダッシュボード全体がラウンドデザインになっているのは初代のノイエクラッセのそれを彷彿させる。
 その平行四辺形のディスプレイでは「オーケー、BMW」で起動するパーソナルアシスタント(パノラミック・ビジョンのセンターに登場する丸顔、吊り目のアシスタント)の設定から始まり、駆動系や回生、ステアリング、バックレスト幅、エアコン、シートの位置やシートエアコン、マッサージなど多彩で、さらにパノラミック・ビジョンに映し出せるBMWのクラシカルなアートカーも5台ほどの中から選ぶことができる(おじさんにウケる?)。

 走りについては、グレード名の「50」が示すようにそのEVパワーは5リッターエンジン並みに強力なもので、アクセルを踏み込めば2トンを超える重いボディを100km/hまで4.9秒で加速させてみせる。スポーツモードに入れた時に聞こえる「ビィィィィーン」という電子音は、できればBMWの直6エンジンの乾いた音にしてほしかった気もするが、まあ今後の課題ということで。さすがに足回りはBMWのハイグレードモデルらしく引き締められていて、後席のパッセンジャーはちょっと頭が揺すられてしまう。
 ブレーキングの98%を回生ブレーキで賄うそのセッティングは絶妙で、アダプティブに設定しておけば停車時にカックンブレーキを起こさないという今流行りのセッティング。ADAS(先進運転支援システム)については、目的地を設定して走行中に、ドライバーが追い越し車線に移ろうとミラーを見れば、自動でウインカーを出して車線変更をスムーズに行ってくれる「レーンチェンジ・アシスト」は現時点でも結構使えることを確認。一方ハンズオフアシストの高速度版である「ハイウェイ・アシスト」については年末までにOTAでアップデートが行われる予定で、そうなれば新東名などの120km/h区間でも作動するようになるそうだ。
 充電スピードは技術的特徴の(1)で説明したようにスピードアップが図られており、航続距離もエンジン車を凌ぐまでとなった。箱根ターンパイクの大観山駐車場などに設置されている240kW出力のような高速充電器であれば、ストレスを感じることなく電気の力が享受できる。iX3のような最新BEVに乗ると、クルマ側での進化は相当進んでいるのが実感できるのだ。
(報告/写真 石原 彰)

最終更新:2026/09/29

 

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